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蜜柑の熟れるころ。

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今は彼岸の頃、甘い蜜柑の出荷が始まる。
子供の頃には冷たい風が吹き始め正月が近付く季節になれば蜜柑も甘くなり卓上に並んだ。
蜜柑の季節になる毎に19才で哈爾濱で病死した叔父を思い出す。16才で満蒙青少年義勇軍に参加した叔父は北満の開拓地で病を得、哈爾濱で没した。昭和17年7月、弟の危篤の報を聞き旅順から哈爾濱へと駆けつけた。
生前の父は弟の最期をよく話していた。
意識の薄れかけた弟に「何か欲しかもんはなかか?」と問いかけると「アキラあんさん、蜜柑ば食いたか・・」と言ったそうである。
夜の街の果物店を探し回ったが蜜柑があるはずもなく缶詰さえ無い。
ようやく見つけた桃の缶詰を口に入れると「あんさん・・蜜柑な美味かな」と言って数時間後に息を引き取ったという。
北満の地に蜜柑が有る筈も無く、故郷を離れて一度も口にしたこともなかったであろう。
誤った国策は無垢で純粋な青少年の命を無駄に捨てさせ省みることも無く忘れ去られ歳月が流れ再び同じ過ちを繰り返す、庶民の無力さのみを感じ、虚しさを覚える。


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by tabibitohide | 2015-09-21 21:31 | Trackback | Comments(0)